美波の振袖通信 昨日・今日・明日 vol.63

「自分がいる環境にふさわしい服って、あると思う」

美波

以前、日本では季節や場所で着たいと思う服が違うと話していた美波。しかし「個」とは別の、自分がいる環境にふさわしい服があるという考え方も持っている。インドで経験した痛い出来事。――その日。外で朝食を済ませたあとにそのまま美術館へ行きたかった美波は、いつもわざとそうしている汚れた格好ではなく、「普通」のシャツを着て馴染みになった店へ赴いた。店員は皆、親しみがある店だ。……が、同じ店員の視線が昨日と明らかに違っていた。冷たい距離感。

「相手に合わせることが礼儀だったりする」

自分にとっては「本当に普通の、さっぱりしているというだけのシャツ」。しかしその、(金持ちに見えた)シャツが彼らには侮辱に映ったのだ。あまりに居心地が悪くて美波は一度ホテルへ戻って「いつも」の服に着替えたという。郷に入れば郷に従え。相手に合わせることが礼儀となる場合もある。経験から得た美波の言葉はまっすぐ届く。その根底は相手を思いやる心。そういえば振袖も、美波にとってはファッションであり、かつ家族への感謝でもあった。

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