
インドでブルーを着たくなったという話を聞いたときに、日本でそういう気分になったときはある? と質問したところ、ちょっと小首をかしげて、日本は着る場所や季節によって選ぶ色が違うと答えた。京都なら季節の色で、それが春なら風景や桜。そして「温泉なら深い雪が解けそうな色にするかもしれない」と微笑した。インドのイメージが大地なら、日本のイメージは四季と切り離しては考えられないことに、改めて気づいた風であった。
「きものって、色柄の違いでその人がわかるところがある」
例えば今日は暖かい、寒いでその日の気分が左右されるというのは、熱帯のインドにはない日本独特の感覚という美波の言葉に思わず頷いた。季節と暮らす日本の風土ゆえである。その感性が映されるきものは、かたちが同じだからこそ色柄やコーディネイトにその人が表れるというもの。次にきものを着るときはまた好みが変わっているでしょうねという美波。それは気分だけではなしに、彼女自身の世界の広がりでもある。

